厭世日誌

だなはのいせんじはみしなかみしるく

わずかに有無に渉れば喪身失命せん

何かを見ようとするたびに、私の脳は故障する。トラックの後ろに乗ってみたい。誰にも使われなくなった線路の上に寝そべってみたい。右、左、右、左、振り子が揺れる。私の鼓動が同期する。右、左、1……2……、右、右、右……。身体の中に臓器が詰まっているだなんて、信じられる?真っ赤?黄色い、オレンジ。あまりに矮小な身体、あまりに希薄な自我。私に自我はある?今夜は曇りだから、ほんの少し調子がいい。悲しい話はせずに眠れそう。どこか遠くへ行きたい。ありきたりで結構。今は何も聴こえない。破裂音に邪魔される心配も、空想の女の子の声も、私を否定する声も、何も聴こえないから、大丈夫、きっとよく眠れる。錆びた日々を何食わぬ顔して遣り過ごす。大丈夫大丈夫、大丈夫。君は大丈夫。私が保証する。鼓動の音。電車の音。再構築する。