厭世日誌

だなはのいせんじはみしなかみしるく

18歳の頃のメモより

おもちゃ箱は何時の間にやらガラクタだらけになってしまった様で、大人になるだとか子供だとかはどうでも良くてただただ悲しい、灰まみれになってしまった記憶や、忘れてしまった遊び方 もう少しくらいは煌めきだとかを取り戻せたっていいんじゃないか。

見えない鏡を一拭きしたら映るのは泣き顔か、表情すらも忘れた様な気がする。

足のつかない水溜りに溺れてしまうような不安に駆られたりだとかね。

気づかない振りや、強くなるという名の鈍感も同じで、結局自分自身が傷つかない為の簡易かつ稚拙な自己防衛だよな。

 

この街に越してきてからもう随分と経ったような気がしている。

ふらりとベランダへ出てキャスターを喫う彼の横、ラッキーストライクに火を付ける。互いの生活の話を、受け止めるでもなく並べる。

まだ深夜に薄着で外へ出るには肌寒い季節、先に部屋へ戻ろうとすると、二本目の煙草を加えた彼に腕を掴まれ「もう少し話したい」と言われたものだから、急に触れたくなって、丸まった猫背に顔をうずめてみた。

久々に過ごす一人の夜は無性に寂しくてどうしようもなくなり、ぼんやりとクロエを観ていたが、途中、登場人物の一人一人に入り込んでは吐き気を催した。

ボリス・ヴィアンの日々の泡。小説は大好きなのだけれど。

愛してると囁くシーンに嫌悪感を覚える。愛してるだなんて言えない。最低な日常に安心感を覚えている今はもう何も。何もできないのだろうな。美しい映像は嫌いじゃないのだけれど。そういう風には生きられない。ギターを弾いて彼を待つ、雨の夜の事。