厭世日誌

だなはのいせんじはみしなかみしるく

青猫

 

大切な物は片手で数えられる程しか持っていないのに、余計な物や事ばかりが頭の中に流れ込んでくる為とうの昔に頭中は浸食され 何も考えられなくなってしまった様で。焦燥感に苛まれたのなら、指先で何度も読み返した本の文字や写真を一つ一つ摘んでいる。

美しいだなんてどうして思えるのだろうか。日々を辿って行く上で美しさを感じられる物は少なからずある。けれどそんなのも虚構だろ。いつか、本当に美しいと思える物に出会うことは出来るのだろうか。どうしたって今じゃない、いつかなのは分かっている。

見えない先が堪らなく怖い。無い物強請りばかり、求めるのならそれなりの覚悟は必要だとそれ位は理解している。しかしそれならば、今は何もない空白と空虚をどう過ごせばいい。

弱音ばかりを吐き出して傷口をひけらかしていたあの娘はきっと今だけじゃなくて誰かを受け入れては、毎晩 そうして。

私は今片手を空けたままに、一人夜に取り残されているらしい。月も明かりも見たくはなくて。ただただ途方に暮れている。

何でもない歌ばかりが部屋を満たして行くのにも、慣れた。

本を読めば少しは気分転換になる。

唇の上に小さなヘルペスが出来て痛い。

今日、何故か泣きそうになったのだけれど どうしてだったか思い出せないな。夢の中での出来事だったかもしれないな。

満たされていてくださいと、誰かが笑える事を切に願っているよ。

両手で掬った水が零れ落ちる様に指の隙間から零れ落ちる様に記憶や理由が一つ二つ消えて行く。