厭世日誌

だなはのいせんじはみしなかみしるく

鞄にジャック・ダニエルを

誰かと向き合うために誰かを忘れること、忘れたくないことはどうすればいい?しまっておいて そっと撫でればいいのか、時々引っ張り出すのがいいのだろうか。

何もない。

なぞる記憶はもう擦り減って擦り減らして霞んでいるというのにこれから先に何を見られるというのだろうか。いつまでたっても、空の頭を持て余してばかりで

草むらに佇んでいる猫に話しかけてみたって返事はしてくれない、人を待つのは苦手だな。有形のそれは歪だ、無形のそれは信じられるだろうか、泥に塗れて掘り返してみれば瓦落多で悲しみは見て見ぬ振りをして一緒にまた沈めておいた 誰もが持っている悲しい事はテレパシーなんて使えない私には分からないな。

紛れも無い現実の中、一握りの空想は指の隙間から砂の様に落ちて行く。拾い集めるのは困難だな。足下は水溜りで狂っている気違いみたいな空の色は鮮やかじゃない鮮やかじゃないから落ちて行くのかそんなこともないよなあ良い訳ばかり振り翳してそろそろ終わりにしてくれよ「君は夢をほかの言葉で言い表すと何だと思う」。

笑って話せる昔話も、しょうもない杞憂も、誰かの手首に薄い白い傷を見つけてしまうことも、至って健全で、欠けているのはたった一つの思いやりを以て隙間に一線を引く、その事だけ。どこへもいけないのは、狂った頭を異常だとも感じないせいだって、病院へ行けば楽になれるかもしれないのに、見えないものと戦って不安を噛み締めては気力をなくして行く様はまるで。君は未だ眠っているのだろうか。私の世界には、美しい人ばかりだ。